メラノサイト内にてどのようにメラニン色素が合成されるのかを頭に入れた上で、今度は具体的に遺伝子の働きとメラニンの動きについて考えていきましょう。
なおハムスターの体毛に色を与えるメラニン色素を中心において考える時、従来の毛色(カラー)遺伝子と毛柄模様(パターン)遺伝子という区分は必要なくなるでしょう。
なぜならば毛色も毛柄模様もどちらもユーメラニンとフェオメラニンの割合、分量、配置によって、つまりそれらを司る遺伝子によって表現されるものだからです。
もっとも学問的にはハムスターの毛色すべてについて研究されているわけではありません(例えばキャンベルハムスターの毛色について学術的にはアルビノとアルビノイエロー、そしてパイドについての論文しか発表されていません)ので、マウスの毛色についての文献などから学び取ったことを一般化して以下に記述していきます。
A(アグーチ)遺伝子はαMSHから受ける刺激を抑制する働きをするアグーチタンパク(アグーチペプチド)を作る指令を出します。これはハムスターだけではなく多くの哺乳動物の野生型遺伝子です。
アグーチタンパクがMSHと拮抗してユーメラニンが合成されない時メラノソームではフェオメラニンが合成されることになります。
つまりA遺伝子座にある遺伝子はユーメラニンとフェオメラニンの割合とその量を決める働きをしているのです。
有害な紫外線から身を守るため、ほとんどの脊椎動物は背中側とお腹側で色が異なります。紫外線をより多く受ける背中側に色素が多く配されるので腹側よりも色が濃くなっているのですが、この配置もアグーチ遺伝子が決定しています。(
アグーチタンパクの分布は体中で一定ではなく、断続的にしか発現しない背中側ではユーメラニンが多く合成されるので色が濃くなり、連続的に発現するお腹側ではフェオメラニンが多くなり色が薄くなります。)
また体毛1本1本が成長する間にもアグーチタンパクは断続的に発現することが多いので、1本の毛の中に色が濃い(ユーメラニンが多い)部分と色が薄い(フェオメラニンが多い)部分の縞が出来ます。これもアグーチ遺伝子を持つ動物の特徴となっています。
正常なアグーチタンパクが作られます。
断続的にアグーチタンパクが合成されるので体毛の1本1本の中でユーメラニンとフェオメラニンを帯状に混じり合わせるだけではなく、アグーチタンパクは体の部分部分で局所的に働くので、背中側で濃い毛色、お腹側で薄い毛色といった大ざっぱな大体の哺乳類の野生型の発現様式以外に、シリアンのチークフラッシュやクレセント、ウィンターホワイトやキャンベルの背中のストライプなどといった種類によっての特徴的な体色になるように色素の合成を調節しています。
aに対して優性、Ayに対して劣性という関係になります。
連続的にアグーチタンパクが作られるのでメラノソームはαMSHからの刺激をほとんど受け取れず、フェオメラニンの合成が多くなり、体色が黄色くなります。
ただフェオメラニンは目に対して作用しないので、目は黒いままです。
ヒトの肥満の成因に関する最近の分子生物学研究の中でAyマウスは遺伝性肥満モデル動物として使用されています。ヒトやマウスではαMSHが肥満や糖尿病を抑える働きをすることが知られています。
つまりアグーチタンパクが度を超えて分泌されてαMSHの作用を阻害すると、肥満になるわけです。 このαMSHがハムスター(現在この変異が知られているウィンターホワイト)においても相同の働きをするのだとすれ
ば、ウィンターホワイトプディングに大きい太った個体が多い事は容易に納得できることでしょう。
なおこの遺伝はマウスでは優性イエローと呼ばれているもので、劣性致死遺伝であることが知られています。
Aに対して優性に遺伝します。
αMSHに拮抗する正常なアグーチタンパクが作られなくなるので過剰にユーメラニンが合成され体色が黒くなります。
このことから非(ノン)アグーチとも呼ばれます。
アグーチ遺伝子が働かないので1本の毛の中に色が濃い部分と薄い部分の縞は出来ず、また背中側とお腹側で色が異なるアグーチパターンも持ちません。
Aに対してもAyに対してに対しても劣性です。
はじめに
各ハムスターについて
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