厳しい自然環境の下で生きる野生動物の毛色は大抵の場合そ の動物が棲息する環境に合わせた保護色となっています。
野生動物の中にも色変わりの突然変異は起こり得ますが、色変わり個体が生まれてもその毛色の個体が生き長らえて繁殖し、集団の中でその新しい毛色を継続し ていくことは(その環境が変化して新しい色こそが保護色となるような場合を除けば)ほとんどありません。保護色からはずれ目立つ毛色は天敵の目標となり、 天敵によって補食されるなどの自然淘汰を受けやすく、結果として突然変異個体が集団から取り除かれてしまうからです。つまり様々な毛色や毛柄模様を持つ個 体が野生動物の集団中に共存する状況はなかなか生まれることはないのです。
しかし野生動物が一度人間によって家畜化されると、様々な毛色や毛柄、毛質の変異が現れてきます。イヌやネコ、牛、馬などを思い浮かべてみて下さい。数 多くの毛色や模様、毛質、そして同一種でありながら様々な形態の個体が存在していることが思い起こせることでしょう。これは厳しい野生環境下での自然淘汰 が緩和されると共に、人間がある特定の毛色を珍重するなど多様な変異を積極的に維持することから起こるのだと考えられます。
ウィンターホワイトに30年ほど先だってペット化されたシリアンハムスターには多種多様の毛色・毛柄・毛質が見つかっています。また世界的に比較的WWよ りも多く飼育されているキャンベルハムスターにも(シリアンには及ばずともWWよりは)多くの突然変異が確認されています。これらのことからいずれウィン ターホワイトにも同じ様な変異が起こり、多くの毛色・毛柄・毛質が発見されていくことが予測できるでしょう。実際ここ五年ほどの間にもプディングやパイド という新しい毛色、毛柄がどこからともなく出現してペットショップに並べられるようになりました。
しかし残念ながら、ペットショップに並べられた"新しい"毛色などがすべて突然変異によって現れてブリーダーの手によって注意深く固定され殖やされたもの
であるとは限らないことに注意して欲しいのです。
新しく品種改良された、と注意書きがあったとしても、もしかするとそれはキャンベルと交雑させて、キャンベルの毛色遺伝子を強制的にWWに移したものであ
るかもしれません。または人工的に体毛を染められた個体群である可能性※すら存在するのです。
一匹のハムスターをコンパニオンアニマルとして生涯可愛がって共に暮らすのであれば、それが何であっても構わないでしょう。飼い主にとって愛しい特別の存
在であればそれだけでいいのです。しかしもし自家繁殖を試みるつもりであるならば話はまったく変わってきます。「謎の動物」ペアを入手して繁殖するのなら
ばまだいいのですが、手持ちの個体と掛け合わせる場合、その正体がはっきり分からない内は、生まれた子を安易に里子に出したり譲渡してはいけません。
自分自身で正体が分かっていないような個体を繁殖し、その「謎の血を継ぐ」子孫を他人に配布することは無責任で、計り知れなく迷惑な行為なのです。ブラッ
クキャンベルが「ブラックジャンガリアン」として市場に現れた当時ペットショップ、あるいは新しい毛色を求めた愛好家が躊躇なくブラックキャンベルとWW
と掛け合わせていきました。そして日本には両者の血が混ざったハイブリット雑種が数多く出現する結果になったことはまだ記憶に新しいでしょう。
同じ愚は二度と繰り返すべきではありません。
確かに生物の命は等しく尊重されるべきでしょう。しかしペットの世界において、品種として確立されているもの、されつつあるものを、いたずらに交雑させ広めてしまうことは、その品種を世に出そうと尽力した先人の努力を無駄にする恥ずべき行いであり、ブリーダーの論理としてはその結果生まれた雑種個体は排除されるべきものとなるのです。
ハムスターの繁殖は簡単に出来ますが、その種に対する理解なくして気軽に行っていいことではないのです。 小さな動物であっても、生命をこの世に生み出す責任は大きいものです。自分が手がける種についての勉強を怠ることなく、真摯に取り組むべきことだと私たちブリーダーは(少なくともC.F.Wでは)信じています。
はじめに
各ハムスターについて
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※) 体毛の一部を黄色く染められたのではないかと疑われる「タイガー」と名付けられたWWが全国的にペットショップの店頭に並んだことがありました。またブ ラックキャンベルが出てきた後、一部で「ブラックジャンガリアン」の名で黒く染色されたWWがいたことが確認されています。
実はオランダの小動物繁殖所のブリーダーにブラックジャンガリアンが出たと教えてもらったのですが、売る側が誤魔化しをする限り、本物のブラックジャンガリアンが店頭に出ても本物と認識されないであろうことが危惧されます。これはとても残念な事だと思います。