1964年、1966年にPhodopus sungorus (sungorus)をジャンガリアンハムスターと名付けた論文が発表された。また前述のドイツの研究所でウィン ターホワイトを研究した学者がジャンガリアンハムスターという通称名を使用するようになった。
Phodopus sungorusをシベリアンハムスター、そしてPhodopus campbelliをジャンガリアンハムスターと名付けた論文が発表 された。
Wynne-Edwards KE and Lisk RD (1984). Djungarian hamsters
fail to conceive in the presence of multiple males. Animal Behavior
32:626-628.
Wynne-Edwards KE and Lisk RD (1987). Behavioral
interactions differentiate Djungarian (Phodopus campbelli) and Siberian
(Phodopus sungorus) hamsters. Can. J. Zool. 65: 2229-2235.
シベリア南西部およびカザフ共和国の北東に分布しているウィンターホワイトに対し、キャンベルの分布区域はアルタイ山脈の南東地帯(ジュンガル盆地)を中 心としてはいるが主にモンゴル内に生息することを考慮し、分布する地域名から命名するとすれば、Phodopus sungorus をシベリアンハムスター、Phodopus campbelliをジャンガリアンハムスターとすることは理にか なっているとは言える。しかしまだキャンベルが亜種であると考えられていた時代、すでにジャンガリアンハムスターという名称がPhodopus sungorusに対して用いられていたという歴史があり、新参の種にこそ古参のものではない新しい名称を与えるべきではないかとい う考え方(名前の先取権)からすれば、当然Phodopus sungorusに対してこそジャンガリアンハムス ターという呼称を用いるべきだと言えよう。
学名に関しては適用の厳密な規定があるが、通称名に関しては厳格な決まりがないことがこのような混乱をもたらすことになった。それゆえ誤解・誤読・誤訳を 避けるためにウィンターホワイトとキャンベルに関する論文にはどちらの種を示しているのかはっきりさせるために学名表記、あるいは併記が望ましい。
【ウィンターホワイト<Phodopus
sungorus sungorus>】
ヒメキヌゲネズミとして先に概日リズムおよび季節周期的リズムの研究や松果体に関する実験に使われるようになった。夏の(光周期が長い)間、ウィンターホ
ワイトは、中央部に黒いストライプを伴った背中と頭は濃い灰色がかった茶色でお腹側は白っぽく薄い灰色をしている。冬に(光周期が短く)なるとウィンター
ホワイトは程度の差はあるものの、ストライプ以外の体毛が白くなる。この体毛の変化こそウィンターホワイトの第一の特徴である。
<体重>夏季:35〜45g 冬季:25〜35g
<分布>カザフスタン東部〜シベリア南西 バラレビスクステップ
<捕獲地>カザフスタン東部。グラチェフスク近辺セミパラティンスクより100km西
【キャンベル<Phodopus sungorus campbelli>】
ウィンターホワイトとサイズはほぼ同じ。ウィンターホワイトに比べ体毛は茶色が濃く、お腹側は暗い青みを帯びた灰色である。黄あるいは淡黄褐色が背面と腹
面の境目を分けるラインは黄色、あるいは淡黄褐色が覆っている。中央部を走るストライプはウィンターホワイトのものより細くくっきりしている。冬に(日照
時間が短く)なっても体毛の色は変わらない。たいていウィンターホワイトより活動的である。
<分布>中央アジアの大草原や半砂漠:アルタイ山脈、トゥーヴァ地方、トランスバイカリア地方、モンゴル
<捕獲地>モンゴル北東部の周期的に干上がる泥沼地帯(およそ北緯42°40´ 東経116°
20´地点)
DJUNGARIAN HAMSTER AND/OR
SIBERIAN HAMSTER: WHO IS WHO?
By Stephan Steinlechner
European Pineal Society NEWS, 1998, number 38 (April): 7-11
(上記はC.F.Worksによる和訳です。原文を参照されることを強くお奨めいたします。)
カシュガル付近を含む新疆ウィグルの人工衛星写真 http://www.jpl.nasa.gov/radar/sircxsar/pishn.html
トゥーヴァ地方の人工衛星写真 http://www.jpl.nasa.gov/radar/sircxsar/tuva.html
アメリカの自然科学学会のモンゴル調査のページ http://www.acnatsci.org/research/mongolia/index.html
THE NATURAL WORLD“The Struggle to Protect a Pristine Mongolian Lake” By
MALCOLM G. SCULLY http://chronicle.com/free/v46/i29/29b01201.htm
モンゴル各県の年間の平均的な気候のデータ http://www.fwcc.org/neimong.htm
インターネットの某所にて、 『学術的な見解』として、ある小動物一般商業雑誌に載せられていた記事を指されて発言なさっていたのを目にしたことがあります。
その雑誌がどの文献を元に「一般読者に学術的だと思わせるような見解」をしたのか、私たちは非常に興味がありました。しかしながら実際に雑誌に載せられて いた記事は「学術的」とは程遠いものでした。つまりその某所の匿名発言者は、「学術的」という言葉で自分の発言を武装しただけだったように思います。
学術的という言葉は、一般的な飼育者にとってはいったいどういう意味をもつことなのでしょうか。匿名掲示板であったし、当然メールアドレスなどはありませ
んでしたので、かの人の気持ちはよくわかりません。しかし個人が何の根拠もなく使って良いと思うのは大きな間違いだと思われます。
だれしも「学術的」と言われたら、それがより正解に近しいと信じてしまうでしょう。これが最終的になされるべき結論だと思ってしまうでしょう。
学術的という言葉は、一般的な飼育者にとってはいったいどういう意味をもつことなのでしょうか。匿名掲示板であったし、当然メールアドレスなどはありませ
んでしたので、かの人の気持ちはよくわかりません。しかし個人が何の根拠もなく使って良いと思うのは大きな間違いだと思われます。
だれしも「学術的」と言われたら、それがより正解に近しいと信じてしまうでしょう。これが最終的になされるべき結論だと思ってしまうでしょう。
「学術的」とは何のソースもなく、軽軽しく口にするべきではない――これは某所の発言から得た教訓です。
はじめに
各ハムスターについて
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まだキャンベルがはっきりと亜種ではなくひとつの種であると広く認められる以前のこと。
Figala J, Hoffmann K, Goldau G (1973). Zur Jahresperiodik beim Dsungarischen Zwerghamster, Phodopus sungorus Pallas. Oecologia 12:89-118.
はドイツでウィンターホワイトをジャンガリアンハムスターという名称で発表した論文です。