パイドの遺伝(対立遺伝子が1組の場合)

 Lorraine Hill女史に代表される海外のブリーダーの間では斑(日本では普通パイドと呼ばれている)遺伝子には Mo(黒目パイド)とMi(ルビーアイ=赤目パイド)の2種類いると記述している場合が多々あります。Mo遺伝子とMi遺伝子の違いは共に斑に関する優性遺伝であっても、Moに比べてMiは劣性致死遺伝であり、両者は眼球の色によって見分けられるとされています。(ちなみに1998年5月頃まではHill女史のサイトでは優性遺伝である斑遺伝子Moと劣性遺伝であるルビーアイ遺伝子ruという分類がされていました。同年5月の更新より以降、彼女のサイトにおいてMoMiというふたつの斑遺伝子記号が登場し現在に至っています。) しかし当サイトではキャンベルはムスターにおける斑遺伝子は小眼球症であるMiのみであるとしています(理由としてはLorraine Hill女史に斑紋遺伝子にMiとMoの2種類あると結論づけた過程を問い合わせたところ、5例程度の繁殖結果から導き出された推論はとても科学的に信用出来ないと思われ、キャンベルの斑紋遺伝子関係の研究論文を見つけたからです。たとえ有名なブリーダーの唱える説ではあっても科学的根拠が少なく怪しいと思われる事柄に関しては当サイトでは海外ブリーダーの信奉する説に無理に合致させることなく独自調査に基づいた推論を提示します)。
>>関連;キャンベルパイド 劣性致死遺伝子

 

  YOUNG
mi/mi Mi/mi Mi/Mi
Normal Mottled HOMOZYGOTE
SIRE×DAM or DAM×SIRE   heterozygote LETHAL!
mi/mi mi/mi ALL    
mi/mi Mi/mi 1/2 1/2
Mi/mi Mi/mi 1/4 1/2 1/4
mi/mi Mi/Mi <IMPPOSIBLE all  
Mi/mi Mi/Mi <IMPPOSIBLE 1/2 1/2
Mi/Mi Mi/Mi <IMPPOSIBLE   all

Mi is for Morphogenetic Lethal Mutation, which is an incomplete dominant autosomal gene.
The dorsal coat of the heterozygote has dark markings on a white background. The dark markings appear on the head, back, and rump. Their color is very similar to that of the wild type, but slightly lighter. The pupil and iris of the heterozygote are black with a reddish tinge. The homozygote has pure white fur all over the body and shows asmaller body size than the wild type and heterozygote. Moreover, the homozygote is characterized by small eyes with unopened eyelids and loss of the incisors. The pupil and iris are colorless and transparent or show a faint reddish tinge wheh the eyelid is artificially opened. In addition to these abnormalities, individual bones of the homozygote show dwarfism. The distal regions of the vertebral ribs show swelling. The homozygote is basically lethal within 3 weeks of age. A very few survivors are sterile. (quoted from "Micrlphthalmia: A Morphogenetic Lethal Mutation of the Campbelli Hamster (Phodopus campbelli)" A. Wada and M. Tsudzuki The Journal of Heredity 1998:89)
For further information >>The Journal of Heredity

参考までに犬においては斑を作る優性遺伝子にして劣性致死遺伝の遺伝子はマール遺伝子と呼ばれているようです。遺伝子は、斑の遺伝に関しては優性(正確には不完全優性遺伝子)であります(ヘテロM/mの場合に斑紋模様を持つことになります)が、ダブル、すなわちホモ(M/M)となった場合、体は白く、歯がなく(往々にして目もない)、時には骨格以上や内臓の異常さえ伴う重い障害を持った形態で生まれてくる劣性致死遺伝子です。重い障害を持って生まれてきたダブル(ホモ)パイドの子どもは、2週間以上生き延びる事はほとんどありません。(たぐいまれな愛情深い飼い主に恵まれ、歯と眼球がない以外は健康であった場合に1年以上の寿命を保っている例がありますが、 これは当然奇跡に近いことでしょう。)

アメリカで、犬のダブルマール(M/M 上に記述している通りの歯および目がない白い個体)と斑のない犬とペアリングさせるとすべての子犬が斑を持っている(/)であることが確かめられたという情報に基づき、とりあえず上記の表中ではホモパイドも親として扱う記述してみました。ただしこれは犬の場合において可能であったまでの事で、ハムスターの場合ホモパイドは不妊です。上の表のホモパイドを親とする記載事項はあくまでも理論上の事であり、実際に(奇跡的に大人になるまで生き延びている)ホモパイドの子は繁殖に使えません。実のところダブルマールの犬の繁殖を確かめた合衆国ででさえ、ダブルマールを繁殖に使うことは『動物虐待ではないか』との意見も多いようです。更に日本、ヨーロッパにおいては、劣性致死遺伝に起因する障害を持った子どもを生み出す可能性のある個体には血統書が発行されないとのことです。

 

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