まとめ;ハムスターの繁殖家になるため(もしくは繁殖を行なう場合)に必要な要素
●遺伝学について学ぶ姿勢。
遺伝学は繁殖の基本です。毛色遺伝学をはじめとして遺伝する疾患、致死遺伝子、血統ライン作りの工夫など、インターネットを駆使すれば、海外には新しい情報が多く議論されているのが判ります。またマウスやラットに比べるとハムスターに関する文献が少ないとはいえ、研究雑誌に発表されたハムスター関連の論文は素人目から見ればかなりありますし、それらのいくつかはインターネット上で読むこともできます。論文の多くは英語にて発表され、またドイツ語やロシア語で発表された論文も翻訳ソフトで英語に変換してから読めば、完璧ではないにしろその概要を知ることが出来るでしょう。直に目にし、情報についてを自分なりに探る。知りたいとどれだけ貪欲になれるのか、辞書をひこうと思うかどうかで力量は決まっていきます。最近では翻訳ソフトも安価でなかなかの訳をしてくれるようになりました。辞書の単語数が足りなくても4割程度は正しく訳してくるのだから、残り6割は自分の力で埋める努力をしましょう。辞書が1冊、あとはやる気。
●責任の自覚。
繁殖を行うということは,自分がハムスターの種の維持に関わるということになります。この責任は他の誰かのものではありません。繁殖を行なうものの責任であって、自分自身が重く受けとめていくべきことです。この責任を負いたくないというのなら、繁殖は他の誰かに任せて飼育者のままでいるべきです。
●自戒。
「可愛いウチの子(飼いハム)の子供が見たい」
この気持ちはよくわかります。ですがそれだけで繁殖を行なうのは、将来に間違いが起こりやすい。まずはただの飼育者であった自分を磨き、そして「可愛いウチの子」が繁殖に適した個体であると自信をもって言えるのならば問題はありません。それ以外ならやめましょう。
これは事例としては実に失笑モノですが、ある自称ブリーダーは「ハイブリッドは反対します」と言っておきながら「ペットショップから迎えた○○ちゃん。もう少ししたらお婿さんを迎えます。でもこの子のショップはハイブリッドが売られていました」と言いました。自分の個体だけは大丈夫、と言いきれるのでしょうか?ブリーディングを行なうのなら、少しでもその可能性がある個体は繁殖には使わないのが鉄則です。
また、体質が弱い個体を親にするなどは絶対に行なってはいけないことです。母体のダメージや次世代への体質の遺伝を考えたらできないことです。
●計画性。
繁殖ライン作りは大事な作業になります。生命を誕生させるには無駄をさせてはいけません。回り道はあるかもしれませんが、なにひとつ無駄にしないような計画性を持ちましょう。
●国産ハムスターの品質を向上させよう!
輸入してくる過程で失われてしまう命のことを考えたことはありますか?
ハムスターは、まだベビーのうちに空輸にて国内にやってきます。ベビーは当然ながらデリケートな状態です。ちょっとしたショックなどで輸送中に死んでしまうことは、みなさんが考えている以上に多い。それこそブリーダーが間引く頭数などとるに足らないくらいです。そういったリスクを経てから一般家庭へペットとして売られることをまず知ってください。店頭に並ぶその1匹のために、倍以上の犠牲が生じているのです。あなたの飼っているハムスターの命のために、たくさんの別のハムスターが命を落としてきました。しかし、もし国内で優良な個体が産出していけるのであれば、輸入における命の損害はほとんどなくなります。
●あるべき繁殖者のかたちを考えませんか?
現在の市場のハムスターは輸入ファームもの、国産ブリーダーのもの、そして素人繁殖ものとが混じり合って玉石混淆のようです。そしてこの状況は固定されたものではなく、きわめて流動的であります。 つまりその時々にどのような意識の繁殖者がいるのかによって状況は良くも悪くも変えることができるわけです。
ペットショップに取材に行くと“お客さん”が持ち込んだハムスターを見せてくれるケースがあります。「お客さんが赤目クリーミィホワイトジャンガリアンのベビーだと持ち込んだ個体ですが、成長してきたらキャンベルになってしまったんですよ」というように店員さんが困惑して解説されることも珍しくはありません。あなたはこのような状況をどのようにお考えになりますか?
ハムスターを扱っている大手問屋に取材に行った日はたまたまハムスターの入荷日でした。社員が言います「遠い外国からやってくる動物たちはひどく疲れた様子をして毛艶も悪いのですが、国産ハムスターは元気で状態もとても良いですよ。顔つきも国産ハムスターの方がかわいいと私は思いますね」。その時私たちがのぞき込んでいたのは国内のブリーダーから入荷した数百匹のドワーフハムスターのベビーでした。ほとんど知られていないことですが、日本国内には一度に生後日数がほぼ同じ、質もそれなりに評価されるハムスターを数百匹単位で出荷することができるブリーダーもいるのです。問屋側も、現在の需要と供給の関係では外国から輸入しなければ必要とされるハムスターの数は揃わないとはいえ、わざわざ外国から輸入するよりも国内から入荷したいと思っています。あなたはこの状況をどのようにお考えになりますか?
……また自らを律しホビーブリーダーとしてブリーディングしていても、段々ブリーダーとしての繁殖に馴れて傲りが出てきたり自分の能力以上の数のハムスターを産出しようとするなどの結果、ショップに出すハムスターの質を知ってか知らずか落としてしまうブリーダーもいます。外からは見えにくいものですが、同じブリーダーが産出するハムスターが必ずしも時間を経るにつれて質が向上するとは限りません。様々な理由でブリーダーの飼育環境が悪化した場合、その中で生まれ育つハムスターの質は劣化していると考えられます。産出ハムスターに自らの名を冠している○○というブリーダーの産出個体だから質が高い、とブランドを盲目的に信じることは賢いことではありません。これは消費者に対する当然の啓蒙であると同時に、私たち繁殖者ひとりひとりが胸に刻んで覚えておかなければならないことでしょう。
輸入のファームハムスターは非常に小さい幼体で送られてくるため輸送中にかなりストレスがかかり業者の手元に届く時にはかなり疲れた姿をしているそうです。しかし長い輸送期間中にすっかりくたびれてしまったハムスターでも、国内の素人がブリーディングの真似事をして“いらない個体”を自分の手を汚さず処分する方法としてペットショップに持ち込んだハムスターよりは、まだマトモな状態といえます。繁殖愛好家がペットショップに持ち込む個体の中にはブリーダーならば市場に卸すのをためらうような質のものが堂々と混じっているのですから(もちろんショップ側に見る目があればそのようなひどい個体の持ち込みはお断りされるでしょうが、店と客との関係によっては引き取りざるを得ない場合もあるようです)。ガイドを読んだみなさんであれば、このハムスターの質を考えずに気軽に余剰個体を店に持ち込む行動がどんなに無責任なものかは理解できますね。
国内産出のハムスターの質を高めれば、輸送の犠牲分の命を守ることができます。まずは、せめて輸入されてくるファーム個体よりも良質なものを。そしてさらに良質を目指すため、本ガイドでは特に強く個体の良質化にこだわった記述をしてきました。 今までの一般飼育者さんや(特に)愛好家さんたちには、自分の飼っているハムスターが自分の手元に来るまでどんな苦労が積み重なっているのか、そして誰がどれだけの努力をしてきたのか――ほんの少しでもいいので考えてみてください。そうすれば私たちが述べてきた「キツい物言い、厳しい態度、高慢」だとか「命を大事にしていない」だとかの皆さんの腹立たしさはしだいに薄れていくのでは?
●自分で設けたポリシーを貫こう。
ブリーダーとしての理想像は高く、それを目指すことは素晴らしいことです。ペットショップと提携するブリーダーとなるにせよ、ホビーでいるにせよ、自分のポリシーをしっかりと持ちつづけましょう。上の項目でも触れましたが、易きに流されることはとても簡単なことです。しかしそれではいけない。簡単なようで難しいことですが、ブリーダーとして出発した原点を忘れず、向上を目指して、どこまでもぶれないように歩み続けたいものです。
●繁殖は甘い考えだけじゃ出来ない。負(裏)の面をもっと意識して。
大好きなハムスターといつまでもいっしょにいたいから、大好きだから職業にしたい。そういう考えだけでブリーダーを目指す人は多いようです。しかし本来ブリーディングはそんなに甘いものではありません。家庭の愛玩動物として外敵もいない状態のハムスターだから弱くても生きていけるのです。ですがそれは本来あるべき姿とはいえません。他人に譲渡するための個体を産出させるために、たくさんの犠牲があります。しかしその犠牲がなかったら将来の飼い主が悲しい思いをするかもしれません。
ここを最も勘違いされる方が多いようなのであえて述べさせていただきますが、私たちは“まだ見ぬ将来の飼い主のためにハムスターに犠牲を強いている”のではありません。だから愛好家のみなさんはくれぐれも「私たちの為にブリーダーがミスカラーを始末する。間引きの理由を飼い主のためだとしている」などとは思わないでください。この自意識的な誤解には大変迷惑しています。
楽しいだけで命は繋いでいけない、種を保護し続けられない。これはハムスターに限ったことではありませんが、軽視されている今だからこそ強く主張すべきだと私たちは考えます。
●バックヤードブリーダー的な間違いはしないこと。
親ばか繁殖は止めましょう。
●つねにアンテナをめぐらせて、情報を集めましょう。
世界の名だたるブリーダーでさえ、持論を捨てる場合もあります。古い情報ばかりを信じているベテラン飼い主さんは、そろそろ新しい情報に目を向けてください。
●繁殖につかえる個体を有する
つまり品種の特徴を備えている個体(言い換えればいわゆる純血種)を保持することです。
シリアンやロボロフスキー、チャイニーズなどはハイブリダイゼーション問題とはまだ無縁ですが、WW(ジャンガリアン)とキャンベルについては細心の注意が必要とされます。繁殖に良い個体は、両親やそれ以前の系統が分かっている個体が、より適していると言えますが、まずはご自分の目で個々のハムスターを見て確かめてください。少しでも疑わしく感じるものは、繁殖せず(=その疑わしく感じる血を殖やさず)自分個人のペットとして生涯をかわいがって飼育する愛玩用に留めておくべきです。
●目的ある繁殖を行う
可愛い愛ハムの子供たちが見たい」だけの繁殖がNGであるのは、第一に目標があまりにも不明確すぎるからです。
可愛いハムスター、この子の子供はどんなのが生まれるんだろう?そんなことは実際に行わなくても毛色遺伝学でシミュレーションは十分可能です。そんな考えればわかることのために母体にダメージを負わせることはありません。無駄です。
苦労してブリーダーズブランドのハムスターを入手したとします。
しかしペアリングさせる配偶体が適切でなければ、やはり素人の繁殖になります。たとえ素人繁殖であっても自分が飼っていくというのならまだしも、他人に譲渡するようなことになったらかなり問題です。いくら自分で飼うといってもいつかはすべてを養うことができなくなる日がくるかもしれません。だから繁殖はブリーダーと同等の知識と常識をもってして行うのが望ましいわけです。
何をもってして適切かというと、そこには他のブリーダー要素である計画性や責任感などが関わってきます。計画性には遺伝学が大きく関わるし、要素同士がお互いに関わりあっているので、なにひとつ欠けることができないものです。
●間引くことができる
疾患持ちを産まれなくするために遺伝学は大事です。しかしながら遺伝学を理解していれば100%先天性疾患から免れるとは限りません。遺伝を学ぶことで先天性疾患が現れる確立を下げることは可能ですが、0になるわけではないのです。
どんなに学んだブリーダーの元でも疾患が出るときは出てしまいます。これは自然の摂理です。その時、間引く勇気がありますか?できないのであればブリーダーにはなれません。先天性疾患を持っていなくても、さまざまなケースで自分自身の責任(もしくは罪という言葉も時として当てはまります)を背負って間引くことができるという覚悟は大事なものです。
大前提として、遺伝学を学んで先天性(または後天的)疾患の発現率を下げることです。これがまずは繁殖の基本です。
それでもダメだったとき、自分の手で繁殖者としての責任をとれること。これもまたブリーダーの大事な要素であるのです。
●繁殖計画(技術)をむやみに伝えない
より具体的な繁殖計画(ライン作り)については、不特定多数のひとが見られるような環境で語ることはタブーです。
もしもあなたが『多くの人間の繁殖について教えた側の責任をとるつもりがある』というのなら、ネットなどで広く情報公開することは止めません。しかしブリーダーならば将来責任のとれなくなることはやらないようにしましょう。みなが同じ方向を向いて歩いているのならば、横のつながり(ブリーダー知識の一般化)はあえて必要としません。縦社会で十分です。
ガイドは、ブリーダーのあり方や姿勢を通してノウハウ・正しい繁殖についてを提示し、繁殖を行なうものが同じ方向に視線を向けてもらうことが主たる目的であり、ブリーディングの詳細を提供する場ではありません。
●自分で調べる
「聞くは一時、知らねば一生の恥」という言葉があります。しかし何でも恥をしのんでHBGに質問をする前に、まずはご自分の手で調べられることがあるはずです。
ガイドは勉強に必要なヒントを多く掲載していますが、ガイドを読んでブリーダーの勉強は終わり!と安直にお考になる一般飼育者さんもいらっしゃるようです。これは極めて危険です。
重ねてご忠告いたします。ガイドを読んだだけでブリーダーになれるわけではありません。読んだ自分自身が努力して多くの知識を身につけ、正しい繁殖をすることでなれるのです。
はじめに
各ハムスターについて
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