我が国で語られるウィンターホワイトとキャンベルの関係
は、同種説、亜種説が入り交じっており、それぞれの生息地に関してもまことしやかに諸説が流されています。また通称ジャンガリアンハムスターと日本で呼ば
れるウィンターホワイトですが、このジャンガリアンという呼称が元々はキャンベルを指し示す言葉であったのがドワーフハムスターが日本に導入された際、
誤ってウィンターホワイトがジャンガリアンと呼ばれるようになったという説もあります。
一体真実はどこにあるのか、本当に学術的にこのドワーフハムスター2種の研究がなされた事がないのか、色々と探し回った結果、やっとドイツ・ハノーバーの
獣医学校で動物学を研究されている方の発表された論文を見つける事ができました。
DJUNGARIAN HAMSTER AND/OR SIBERIAN HAMSTER: WHO IS WHO?
By StephanSteinlechner
European Pineal Society NEWS, 1998, number 38(April): 7-11
以下にCherry Field Worksが翻訳した概要を以下に紹介いたします。
なおこの論文の内容自体には手を加えていませんが、文章の並びはサイト主旨に沿って変えてあります。またCherry Field
Worksの見解やコメントも随所に挿入してあります。しかしここに書かれていることを読んだだけですべてを解かったとせず、
情報の裏付けを取るためにもWEB上から入手することができる原文にあたられることをお奨めします。
http://www.staff.uni-marburg.de/~klingens/phodopus/PHODOPUS.pdf
(※残念ながら現在このアドレスにこの論文は存在しないようです。)
チェコの科学者によりドイツの研究所に2ペアのウィンターホワイトがもたらされた。
季節によって体重と体毛が変化することなどが観察された結果、松果体の研究モデル動物としてなど有益な実験動物として使われることとなり、そして1980
年代までに世界中の多くの研究施設にて、このドイツからの系統、あるいは別の系統のヒメキヌゲネズミが飼育されるようになった。
ドイツの研究所でウィンターホワイトが研究されるようになった当時、ウィンターホワイトは地理学的に異なる2カ所に分布していると思われていた。片方は北 西部に分布するPhodopus sungorus sungorus(ウィンターホワイト)で冬季に体毛が変化 することに対し、南東部に分布するもう一方Phodopus sungorus campbelli(キャンベ ル)は毛色が変化しないことから、この2種は亜種だと考えられていた。なおPhodopusという属名はこのヒメ キヌゲネズミの足底の特徴から、また種名のsungorusはジュンガル盆地に因んで、その英語の1表記である Sungariaから命名された(他のジュンガル盆地を示す英語表記にはDsungariaやDjungaria、Zungariaがある)。
K.W.ウィニー-エドワード博士はソビエト連邦(1980年代初頭当時)内にてこの2種のハムスターの野生種をそれぞれ罠で捉えることに成功。野外と研 究室の中それぞれでこの2種の研究に従事した。
ヒメキヌゲネズミを研究していた研究者たちはこの2種が習性上でも形態上でも別種と考えた方がふさわしいと結論づけることとなり、正式にキャンベルハムスターが亜種ではなく生物学的分類上ひとつの種であると認められた。
実はソビエト(当時)では1967年の段階ですでにウィンターホワイトとキャンベルにおける染色体の形態の違うことが確かめられており、また1979年に はウィンターホワイトとキャンベルを交配させると、F1のオスは不妊となる(しかしメスの中には繁殖可能である個体も含まれていた)ことが報告されてい た。残念なことにこれらの論文はロシア語で書かれていたため、長い間西側諸国の研究者の目にふれることはなかったのである。
はじめに
各ハムスターについて
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動物の学名の多くは古典ギリシア語の複合語をラテン語化して作られたものだそうで、Phodopusも古典ギリシア語のphosとpousを複合した語phodosから命名されたそうです。
動物の学名は国際動物命名規約により二語名法(大文字で始まる"species name"種の学名+小文字で始まる"specific name"種小名)によって表記し、亜種の場合の表記は亜種小名を種の学名のうしろに置いた三語名で表記するように厳密に決められています。したがって ウィンターホワイトとキャンベルが亜種だと考えられていた当時の学名は当然のごとく、種の学名としてPhodopusが、 次に種小名としてsungorus、更に亜種である2種を区別するためにそれぞれの亜種小名 sugorus 、campbelli 、 続いて三語名が Phodopus sungorus sungorus とPhodopus sungorus campbelli と表記されていました。
我が国のハムスターサイトの中には現在でもウィンターホワイトとキャンベルが亜種である、もしくは学術的に亜種だと主張する学者がいるといった記述をして いる所がありますが、もし学術的に亜種説を唱える勢力があるとすれば、それらの学者による学名表記はPhodopus sungorusとPhodopus campbelliではなく、それぞれ上記の様にPhodopus sungorus sungorusとPhodopus sungorus campbelliと なるはずです。(国際動物命名規約では、三語名での表記の際、種小名を短く略記することは認められていますが、省略することは許可されていません。)
はたして現在わたしたちはウィンターホワイトとキャンベルを示す学名としてPhodopus sungorus sungorus とPhodopus sungorus campbelliと書かれている文献を目にすることがあるでしょうか?ウィンターホワイトとキャンベルが亜種であるからこの2種を交配することはまったくかまわないと思われる方には以上の事実をよく考えていただきたいものです。
なおここでウィンターホワイトとしているのは、冬季に体毛が白くなる特徴から名付けられた俗称で、原典の中での使用はありません。原文の中で明らかにPhodopus sungorusを示している箇所の訳語としてCherry Field Worksが少しでも読みやすいようにと独自に使用したものです。